ファイナンス+サービスで物流・製造現場の社会的課題解決へ
移動式協働ロボットの「保守一体型月額サービス」が始動
2026年09月29日
労働人口の減少や高齢化を背景に深刻な労働力不足が叫ばれる物流・製造現場において、ロボットの活用や省人化は急務となっています。しかし、初期投資の負担、導入後の費用や保守運用への不安、ロボット選定に関するノウハウ不足などが障壁となり、導入に踏み切れない企業は少なくありません。
こうした社会的課題を解決すべく、三菱HCキャピタルは株式会社日立オートメーションと協業し、移動式協働ロボットの「保守一体型月額サービス」の提供を開始しました。単なるモノの提供にとどまらず、導入検討から保守運用までを一体で支える本サービスは、いかにして誕生したのでしょうか。
今回は、日立製作所および日立グループとのビジネス協創をミッションに掲げ、本プロジェクトを主導したカスタマー営業本部・日立第二営業部の岡村課長、推進の中心を担った中井課長代理、最前線でビジネス実装を行う武田に、現場のリアルな課題と「ファイナンス+サービス」が導く未来のビジョンについて聞きました。

岡村 亮子(画像左):カスタマー営業本部 日立第二営業部
1997年入社。レンタル・リース営業として情報通信、セキュリティ、製造業分野の法人営業に従事。
2021年より営業課長として日立グループとの協業を推進。
現在は、日立グループを中心としたパートナー企業との連携を通じて、ファイナンスとサービスを組み合わせたソリューション提案や新規案件の創出に取り組んでいる。
中井 涼万(画像中央):カスタマー営業本部 日立第二営業部
2017年入社。人事部門で新卒採用を担当。2019年より情報通信、放送業分野の法人営業に従事。
2024年度から2年間、日立製作所へ出向し、ロジスティクス分野の営業を経験。
2026年度より、日立グループを中心としたパートナー連携を通じた新規案件創出と幅広い業界における法人営業および移動式協働ロボットの月額サービスモデルの拡販推進に取り組んでいる。
武田 夏帆(画像右):カスタマー営業本部 日立第二営業部
2025年入社。法人営業として、情報システム案件の営業支援や案件推進業務に従事。
2026年度より、日立グループを中心としたパートナー営業と製造業分野を中心とした法人営業および移動式協働ロボットの月額サービスモデルの拡販推進に取り組んでいる。
社会的課題の解決に挑む。
日立グループとのビジネス協創
――まず、ロボット活用事業に注力されるに至った経緯や背景をお聞かせください。
岡村:当社は、物流・製造業界のお客さまにさまざまな機器を提供しており、日頃から現場が抱える課題に接しています。中でも少子高齢化に伴う労働力不足は、多くのお客さまに共通する深刻な課題です。当社ではこの課題への対応を重要なテーマと位置付け、2025年にはロボティクス事業開発部を新設しました。
また、私たちが所属する日立第二営業部は日立製作所および日立グループとのビジネス協創をミッションとしています。そのような中、日立オートメーションとの協業により、当社のファイナンス機能や顧客チャネルと同社の高い技術力を組み合わせることで、労働力不足という社会的課題の解決に貢献できると考えました。

――中井さんは日立製作所へ出向されていたと伺っています。その経験はどのように生かされたのでしょうか。
中井:私は2024年4月から2年間、日立製作所のロジスティクス&ロボティクス推進センターに出向し、さまざまなお客さまの物流・製造現場を訪問しながら、ロボット活用や自動化に関する提案営業に携わってきました。その中で伺った現場の生の声を通じて、労働力不足が想像以上に深刻な課題であることを肌で実感するとともに、ロボットや自動化に関心を持ちながらも、自社に最適な設備やロボットの選定方法がわからず、導入に踏み切れないお客さまが多いことを知りました。このような経験から、日立グループの技術力と、当社が持つファイナンススキーム構築のノウハウを組み合わせることで、課題解決に貢献できないか考えるようになりました。当部では常に、「当社のビジネスと親和性が高く、一緒にお客さまの課題解決につながるソリューションは何か」を模索しています。その中で、日立オートメーションが開発した「移動式協働ロボット」は自動化の第一歩として多くのお客さまに導入しやすいソリューションだと確信し、具体的な協業スキームの構築に着手しました。
ロボット導入のさまざまな障壁を解消する、
協業によるサービス提供
――お客さまがロボット導入による自動化を検討する際、具体的にどのような点がハードルになっているのでしょうか。
中井:ロボット導入を検討されるお客さまからは、「人手不足を解消したい」「作業を効率化したい」というニーズを数多く伺います。一方で、導入にはいくつかのハードルが存在します。特に大きいのは、初期投資の負担です。ロボット本体に加え、設置工事やシステム設定なども必要となるため、投資額が大きくなりがちです。また、自社で十分な効果が得られるのかを見極めることが難しいという声も多く聞かれます。
さらに、従来のリース契約では導入費用と運用・保守費用が分かれていることが多く、導入後の追加費用や故障時の対応コストが見通しにくいという課題もありました。

――その壁を乗り越えるために構築されたのが、今回の協業によるサービスプランなのですね。
岡村:今回提供を開始した移動式協働ロボットの月額サービスは、こうした課題の解決をめざしたものです。ロボット本体に加え、機器設置や初期設定、導入後の設定変更やトラブル対応などの保守サービスをパッケージ化し、月額で利用できる仕組みとしました。これにより、お客さまは初期投資を抑えながら導入でき、運用面についても安心して活用いただけます。本サービスでは、日立オートメーションが機器設置、保守、不具合対応を担い、当社が機器所有、料金請求、保険付保を担います。最大のポイントは、基本5年間の「保守一体型月額サービス」としてパッケージ化した点です。
お客さまは、ロボットの選定から導入、保守運用までをワンストップで相談できるほか、機器代金に加えて5年間の保守費用も月額料金に含まれているため、将来の費用見通しを立てやすくなります。また、日立オートメーションによる保守体制により、万が一不具合が発生した際のダウンタイムリスクも抑えることができます。
ロボット導入にあたって課題となりやすい「何を選べばよいのか分からない」「費用対効果が見えにくい」「導入後の運用が不安」といった複数の障壁をまとめて解決できることが、本サービスの大きな価値だと考えています。
こうした仕組みにより、お客さまはロボットを「所有する」のではなく、「必要な機能をサービスとして利用する」という発想で、自動化に取り組むことができます。

物流・製造現場の課題解決を支える「移動式協働ロボット」
――今回パートナー技術として選定された「移動式協働ロボット」の優位性についてお聞かせください。
中井:日立オートメーションの移動式協働ロボットは、人と同じ空間を安全柵なしで協働し、商品や荷物のパレットへの整理・積み付けや、積載された商品の積み下ろし作業を効率化することができます。
このロボットの価値は、「認識能力」「移動性」「協働性」の3点に集約されます。特筆すべきは、高度な3Dビジョン技術が実装されているため、対象物の位置や形状を瞬時に立体的に認識できる点です。 多品種・少量化が進む昨今の現場において、マスターデータの事前登録をせずとも正確なピッキングを行えることが、非常に大きな強みとなっています。

――「移動性」と「協働性」についてはいかがですか。マルチテナント型物流施設での運用にも適しているようですね。
中井:おっしゃる通りです。従来の大型ロボットは、床へのアンカー固定や安全柵の設置が必須でした。しかし今回のロボットはキャスター付きで固定不要のため、拠点の移動やレイアウト変更に容易に対応できます。さらに、人と同じ空間で作業できる協働ロボットであるため、大掛かりな設備改修をしなくとも既存のスペースに導入が可能です。近年増えてきているマルチテナント型物流施設では、テナントの入れ替わりやレイアウト変更が発生することも少なくありませんが、そうした環境変化にも柔軟に対応できます。
定型的でありながら身体的負荷の大きい「重筋作業」を本ロボットに代替させることで、安全性向上と人材の最適配置を実現します。
また、このロボットは個別のカスタマイズを必要としないため、導入のハードルが低く、さまざまな現場へ導入しやすい点も特長です。そのため、物流施設にとどまらず、製造業をはじめとする幅広い業種での活用が期待されています。
利用シーン例
デパレタイズ

トラックドライバーの業務軽減のために積み下ろし作業を代替
パレットへの積み替え

入荷用パレットから、庫内専用パレット等への積み替え
パレタイズ

出荷用パレットへの積み付け
サービス発表直後から寄せられる期待の声に、
大きな手応えを感じる
――サービス発表後の反響について教えてください。
武田:本サービスの本格稼働に合わせ、MA(マーケティングオートメーション)を活用したメール配信などを通じた情報発信を行っていますが、リリース直後にもかかわらず、すでに複数のお客さまからお問い合わせをいただいています。
特に、「初期投資を抑えながらロボットを導入できる点」や「保守まで含めて月額化されている点」に対する関心が高く、労働力不足や省人化への対応を検討されているお客さまから期待の声が寄せられています。
こうしたお客さまの声を各営業部店とも共有しながら、本サービスを通じてより多くのお客さまの自動化や生産性向上に貢献していきたいと考えています。

「高付加価値サービス提供主体」への転換。
次なるインフラ構築を見据えて
――最後に、本プロジェクトを通じた中長期的なビジョンについてお聞かせください。
岡村:今回の移動式協働ロボットによる「保守一体型月額サービス」は、我々が描く壮大な構想の第一歩に過ぎません。リース会社としての当社の従来の役割は、モノと資金の提供でしたが、これからの我々が担うべきは「高付加価値サービスの提供主体」へのトランスフォーメーションです。
日本が直面する労働力不足という大きな社会的課題に対し、単一のソリューションで立ち向かうことには限界があります。今後は日立製作所や日立グループ各社との連携をさらに深化させ、ロボットの導入にとどまらず、その前後の工程、さらにはAIやIoT、制御システムを統合した「工場・倉庫全体のデジタルインフラ」を我々が包括的に提供する未来を描いています。
中井:現場の課題解決から始まり、最終的には産業全体の最適化へとつなげていく。本件はさまざまな業種に展開できる汎用性の高いスキームですので、ここから得られるデータや知見を次のビジネスモデルへ還元していきたいと考えています。
岡村:我々が有するアセットマネジメントの知見と、パートナー企業の最先端テクノロジーを掛け合わせれば、提供できる価値は無限に広がります。将来的には、必要な時に必要なだけ高度な自動化設備を利用できる、シェアリングプラットフォームの構築なども視野に入れています。
お客さまの事業成長に並走しながら、次世代の持続可能な社会基盤を創り上げる。それこそが、我々三菱HCキャピタルがめざす真のビジネス協創の形と考えています。



