ガバナンス(Governance)

リスクマネジメント

リスク管理態勢

当社グループでは、グループ全体にわたるさまざまなリスクを特定、認識しており、各リスクの所管部署が担当するリスクカテゴリー別に、リスク管理を行う態勢としています。常務執行役員であるリスクマネジメント本部長を委員長とするリスク管理委員会では、グローバルベースでグループ全体のリスクを総合的かつ体系的に管理し、重要事項については、社長を議長とする経営会議、取締役会に報告し審議しています。取締役会は報告内容を審議するとともに、これら一連のプロセスの有効性を定期的に確認しています。なお、リスク管理委員会は半期ごとの定期的な開催に加え、外部環境に大きな変化が生じた場合等、必要に応じて臨時に開催し、機動的な審議ができる態勢としています。また、当社グループでは実効的なリスク管理態勢を構築するためCOSOフレームワーク※1に基づく「3線管理※2」の枠組みを導入しています。
下図のリスクに加えて、コンダクトに関するリスクや人権侵害リスクなど、経営に与える影響が大きいリスクについても、状況の変化に応じて対応方針を策定するなどリスク管理の高度化を図っています。

  1. ※1米国のトレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO:the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)が公表している世界基準の内部統制のフレームワークのこと。
  2. ※23つの防衛線(1線:営業・事業本部、グループ会社/2線:リスク所管部署/3線:監査部)によるリスク管理態勢のこと。
リスク管理体制図
当社グループのリスク管理の全体像
当社グループのリスク管理の全体像の図
リスク管理態勢高度化への取り組み

リスク管理体制における内部監査

当社は、企業価値の持続的な向上とステークホルダーへの責任ある対応を目的として、COSO ERM(Enterprise Risk Management)フレームワークに基づくリスクマネジメントおよび内部統制の仕組みを構築・運用しています。
このフレームワークにより、戦略目標の達成に向けたリスクの特定・評価・対応・モニタリングを体系的に実施し、組織全体でのリスク意識の醸成と管理体制の強化を図っています。特に、信頼性の高い統制環境の整備を通じて、リスクの顕在化を未然に防止することを重視しています。
また、監査部は独立した第3線として、J-SOXや一部の資産自己査定の年次定例監査に加え、COSO ERMフレームワークに則り、統制環境・リスク評価・統制活動等をモニタリングしています。これに基づき、リスクアセスメントを通じて年度監査計画を策定し、リスクベースの個別監査やテーマ監査を実施することで、リスクマネジメントプロセスおよび内部統制の有効性を確認しています。
なお、内部監査の計画・実施・報告・改善指導までを一貫して行う体制を整備し、監査結果に基づく改善活動を通じて、継続的な統制環境の向上に努めています。また、監査人材の専門性向上を目的として、CIA(公認内部監査人)・CPA(公認会計士)などの専門資格取得を推進するとともに、体系的な人材育成に取り組んでいます。
さらに、ITを活用した監査手法の導入により、監査の効率化と精度向上を図り、より質の高い監査活動の実現をめざしています。

当社グループの認識している重要なリスク

当社グループでは、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクとして、以下のリスクを認識しています。加えて、足元ではロシア・ウクライナ情勢、米中対立、中東情勢等の地政学リスクや、米国の関税政策が各国経済に及ぼす影響等、事業環境の不確実性が高まっており、当社グループでは動向を注視しています。

その他の重要なリスク

当社グループでは、以下のような重要なリスクについても認識しています。こうしたリスクは、各リスクの特性や状況に応じて、統合リスク管理の枠組みで管理している各リスク項目への影響や複数のリスク項目に跨る複合的な影響を分析するとともに、当社グループとしての対応を検討、必要に応じて対応方針を策定するほか、状況に応じてシナリオ分析などを実施して、リスク耐久力に対する多面的な検証を行っています。

リスクと資本の管理

当社グループが直面するさまざまなリスクは、「統合リスク管理」の枠組みに基づき、統計的な手法を用いて統一的な尺度で計測し、定量化しています。そのうえで、経営体力である自己資本と定量化したリスク量を比較することによって、健全性確保のためのリスクと資本の管理を行っています。
具体的には、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクについてリスクカテゴリーごとにリスク量の計画値(配賦リスク資本)をリスク許容度として定め、その水準が経営体力に見合ったものかどうかを確認するとともに、期中においてはリスク許容度の範囲内でリスクを取る態勢としています。リスクやポートフォリオの状況は、継続的にモニタリングのうえ経営報告を行っています。

健全性確保のためのリスクと資本の管理

ストレステスト

定期的にストレステストを実施し、統計的手法では捕捉できないリスクの発生による影響を把握しています。具体的には、世界経済の悪化や、事業分野ごとの市況変動および信用状況の悪化、大口先への与信集中リスクなど複数のシナリオ設定によるストレス状況下において、当社グループの期間損益や自己資本にどの程度の影響が生じる可能性があるのか、分析・検証を行っています。
こうした多面的な検証により、経営計画・事業計画において、リスク選好に無理は生じていないか、リスク耐久力が十分であるか、確認を行っています。

3線管理(3 Lines of Defense)

当社グループでは、グループ全体を3つの防衛線に分け、リスクベースで管理する3線管理の枠組みを取り入れています。当社グループのリスク管理機能を下記の通り分類し、それぞれの役割を担うことでリスク管理態勢の実効性向上を図っています。

分類 役割
1線
(営業・事業本部、グループ会社)
ビジネス活動に起因するリスクのリスクオーナーとして、自律的にリスク管理を実施する。
2線
(各リスク所管部署)
リスク管理方針や枠組みの整備、1線に対するモニタリング・牽制等を通じて、1線の自律的なリスク管理を専門的立場から支援する。
3線
(監査部)
1線および2線から独立した立場で、1線および2線によって運用されるリスク管理の実効性を評価し、課題・問題点に対する助言を行う。

リスクマネジメントに関わる周知・教育

当社では、リスクマネジメントのうち必要な領域について、全社員向けにeラーニングを実施するなどの教育を行っているほか、社外取締役を含む取締役に対しては、取締役会や監査等委員会にてリスク管理態勢の枠組みの詳細な説明を定期的に実施し、リスクマネジメント状況の共有を行っています。
また、リスクに対する基本的な方針および管理方法を明確にするため、「リスク管理規則」を制定し全社員に周知しています。加えて、営業・事業部門とのリスクコミュニケーションを重視し、リスクの所在や現状、管理状況を共有する「リスクマネジメント・審査協議会」を定期的に開催しているほか、リスクに係る経営情報を見える化した「リスクマネジメント・ダッシュボード」を作成して展開しています。
これらの取り組みを通じて、事業成長のためにどのようなリスクを取るべきかについての社内共有を進め、営業・事業部門のリスクオーナーシップ確立をめざしています。

危機管理

当社グループでは、「危機管理規程」「災害対策規程」および対応マニュアルを整備し、自然災害・人為災害・事故等による経営への影響を最小限にとどめる態勢を構築しています。さらに、危機発生時には、当該事象の危機状況を踏まえて危機区分を決定し、「危機事態」と判定した場合は「危機管理対策本部」を設置します。
経営主導のもと、関係部署と緊密に連携しながら、情報収集や共有、対応方針の検討・指示等を行っています。

危機発生時の対応フロー
危機発生時の対応フローと危機区分検討の図

BCP

切迫性の高まっている南海トラフ地震等の激甚災害への備えとして、当社では、災害発生後を時系列で3つのフェーズに分類し、下図の通り実践的な事業継続計画(以下、BCP)の態勢を整備して、発災時に有効に機能するよう定期的な訓練を行っています。

BCP対策
BCP対策の図